*かごには何も入っていません。

"kakurenbo" 2008ss

"kakurenbo" 2008ss
カクレンボ:かくれんぼ(日本語)

このデザインは、僕のデザイナー人生の中でも印象的なテキスタイルとして想い出すことになるだろうと思っています。テキスタイルはミナを始めて、工場で仕事を頼むことで学びながら覚えてきました。その中で自分なりに可能性を探したり、気づいたりしながら素材や技術の経験が繋がりあって、僕の中では一本の木のようなものに育ってきているような気がします。

"kakurenbo"は、織の組織を袋状にしてその袋の中に蝶の柄を忍ばせました。その袋を着る人が、ハサミで開けてみると中に蝶が隠れているというデザインです。お店に並んでいる時は無地でうっすらと丸い柄が織られているのが分かります。その円の中にいる蝶を解き放ってあげると、服に蝶が舞い始めるという服。これは機械で量産される既製服という領域でも着る人によって一着一着の景色が違って、それぞれの人の景色にならないかという試みでした。

このテキスタイルが出来た時に僕は「知らないという可能性」ということに気づいた気がします。それは経験がないからこそ「できるかもしれない」、「できるはず」、「やってみよう」という心が生まれて新しい可能性に届いてしまうということです。その機会に出会うことは稀ですが、出会えた時には自分の人生の道に咲く花や風のように、いつまでも忘れられないものになります。そんなことが僕のデザインをする喜びです。

text by Akira Minagawa

photo by sono

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