*かごには何も入っていません。

8/9 かもしれないから

溶けていくような
夕暮れの入道雲を
山の向こうへ
見送りながら
あと数分ここにいて
ヒグラシのさざ波のような
共振を瞼の奥に聴き留めよう
ランニング姿の老人と
三輪車を漕ぐ幼子は
遠い記憶の残像のよう

ぬるゆっくりな風に
ついてくように
私は歩みを
微かにゆるめて
もう一度
空を見上げた

いつか
想いだすかも
しれないから

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