7/15 夏の宝物山ではもうヒグラシが 鳴いていた。 木々に吸い込まれていくような あの美しい音色を聞くと 私は子供の頃に父と登った 夕暮れの山を思い出す。 今の私よりもずっと若かった父の 盛り上がったふくらはぎをじっと見て登る道。 迎えるように 見送るように ヒグラシ。 いつしかそれは風の音色のように私には 聞こえていた。 頭の奥でカナカナと つぶやく。 ヒグラシとふくらはぎ 可笑しなセットで 仕舞われている私の 夏の宝物。 prevLatestnextarchive2023202220212020201920182017201620152014201320122011