*かごには何も入っていません。

Helix by Shimpei Yamagami vol.1

写真家 山上新平さんの、初の写真集『Helix』。Helixは螺旋を意味し、写真集はモノクロームの「SPECTRUM」とカラーの「The Disintegration Loops」、二つの異なる風景のシリーズから構成されています。サイトヲヒデユキさんによる装幀・アートディレクション、皆川 明による出版で発売されたこの本について、Columnにて2回に分けてご紹介します。

SPECTRUMは、作家の地元である鎌倉にて2014~2015年に撮影されたモノクロームのシリーズ。被写体の命と徹底的に向き合い続けるなかで眼差しを変容させながらつくられました。その場に対する個人的な感情や記憶を徹底的に削ぎ落として、その時を定着させたという写真たち。撮影にあたり、作家は被写体の命から多くのものを得たと言います。

The Disintegration Loopsは、SPECTRUMの後に、同じ場所をカラーで撮影したシリーズ。脱力した眼差しで写真を引き算としてとらえ、SPECTRUMの被写体から得たものに呼応してつくられました。時と光を大切にしてきた作家がさらに色にも向き合って制作したものです。

SPECTRUMとThe Disintegration Loopsという二つのシリーズを、2022年に作家が改めて再制作・再構成したのが『Helix』です。「自身にとって大切なことは、場ではなく時であり、自己ではなく被写体であり、そこへの眼差しの強度でここまでつくってきました。」と山上さんは話します。写真と命を同じところに置く写真家・山上新平さんの、写真に込められた眼差しの密度を作品から感じていただければ幸いです。

画像:news
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「Helix」に寄せられたコメント

「サワサワと静寂の音が聞こえてくる。だんだん気持ちが透明になっていく。」
葛西 薫(アートディレクター)

「山上さんの視線にさそわれて、無音の林を彷徨った。
静寂の中、ドキドキするようなざわめきを覚えながら。」
上田義彦(写真家)

「僕が山上さんの写真に感動したのは、美しいものという存在があるのではなくて、美しいという感情によって美しさが生まれるという気づきでした。」
皆川 明(デザイナー)

装幀・アートディレクション:サイトヲヒデユキ
発行元:皆川 明
サイズ:縦35cmm 横26mm 厚み22mm(ハードカバー、スリーブ入り)
ページ: 160ページ 

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