*かごには何も入っていません。

making with KANAGAWA LACE Inc.

神奈川県愛甲郡にある神奈川レース株式会社。1960年設立の会社です。
ミナ ペルホネンが、1995ssコレクションで発表した最初の刺繍のテキスタイル “hoshi*hana”から、26年経つ今もミナ ペルホネンの刺繍のテキスタイルを変わらずに作り続けてくださっています。

1995年のブランド設立時より、私たちの仕事を担当してくださっている佐藤敏博さん(以下、佐藤さん)にお話を伺いました。

【26年間を振り返ってみて】

「最初に“hoshi*hana”のテキスタイルを一緒に作った時から一貫して、手の表現をそのままに自由曲線を活かした刺繍のテキスタイルづくりを大切にされています。そのことに初めは衝撃を覚えました。」と、佐藤さんは振り返ります。

戦前から脈々と受け継がれてきたスイスやフランス、ドイツなどの刺繍文化の、精緻で均一、それでいてハリのある刺繍が最善とされていたレース業界の中で、揺らぎや抑揚、図案そのものに現れている線を刺繍で表現し、そして洋服にすることは、これまでの当たり前からは存在しない価値観でした。

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【これまでに印象に残っているテキスタイルについて -“forest parade”-】

「初めて図案を見た時、中心から左右に絵柄が伸びている原画に驚きました。2005ssコレクションで発表された“forest parade”は、もっとも印象に残っているテキスタイルです。」

レースの生地を作成する工程の中で、読みこんだデータ通りに機械が動くように一つひとつの手の運びをプログラミングしていく作業を“パンチング”と呼びます。この”forest parade”のテキスタイルでは概ね問題なく進めることが出来ましたが、その刺繍が刺されるベースとなる生地が水で溶けて、レース部分が一つの房のようにつながり立体的な表情を携えたレース作りというのは新しい取り組みでした。
“とにかく柔らかな表情にしたい”という、これまでのハリのあるレース作りからは真逆の要望に応えるよう、佐藤さんは試行錯誤の繰り返しだったと語ります。

遠くから見ると房のように一つの塊に見えるレースですが、近くで見ると動物や植物、peaceの文字など37種類のモチーフが現れます。歩けば共に揺れる、柔らかく豊かな表情で出来ている“forest parade”の可憐な印象の内側には作り手の熱い意志が込められています。

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【図案について】

年2回のコレクション発表。生地の制作から始まるミナ ペルホネンの最初の仕込み。
図案が持ち込まれる時期は、佐藤さんはもっとも楽しい時間だとおっしゃられます。毎回異なる要望に対して、一から真摯に図案に取り組む時間は“対話の時間”だと表現されました。

希望はこういうことかな?ミナ ペルホネンというブランドの仕事を理解いただきながら、その先にあるお客様の笑顔を想像し、あれやこれや想像する時間は悩みも多い中、至福の時間だと笑顔を浮かべられます。

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【大切にされていること】

「お客様がどのように感じてくださるか、どう思ってくださるか、そのことを中心にいつもレース作りをおこなっています。これからも人の優しさが込められている刺繍に仕上げたい。」と佐藤さんは柔らかな話し声で熱く語ってくださいます。刺繍一つひとつの表現のその先にある笑顔を思いながら、日々目の前のことに取り組んでいらっしゃいます。

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photo1-4 by L . A . TOMARI
photo 5 by Yasuhide Kuge
photo 6 by Teruyoshi Toyota


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